(1)府八幡宮
旧東海道、現在の天平通り沿いに、遠江国分寺跡と向かい合わせの位置に鎮座している。約1300年の歴史を誇っており、天平時代に国司として奈良の都から赴任した桜井王が勧請したと伝えられている。当時、現在の御殿地域に国府が置かれていたため、府八幡宮と称したと考えられる。桜井王は万葉集に聖武天皇との問答歌が残されている。
ご祭神は、応神天皇、仲哀天皇、神功皇后の三柱である。足利氏、今川氏、徳川家の「安堵」を受け、中泉代官も務めた秋鹿氏が江戸時代などは代々神主を司り、中泉地区の氏神様として現在に至っている。総面積約一万坪の境内は、緑に覆われ「天平の杜」は市民の憩いの場でもある。本殿は「三間社・流れ造り」という形式で、創建時代から幾度も作り替えられ、元和3年(1617年)には東福門院和子(徳川秀忠の娘)が再建している。
(2)楼門
○県指定文化財
寛永12年(1635年)に建立された杮葺き(こけらぶき)、入母屋(いりもや)造りの二階建ての門である。桃山時代の和風様式を残す優雅な、そして重厚な門で、中には随身が阿吽の呼吸で座りご祭神を守っている。府八幡宮にはこの他にも見所がたくさんある。
(3)古代の杜
府八幡宮の境内は、およそ14,000坪。鬱蒼とした古代の杜に包まれており、「静岡県杜100選」にも選ばれている。シイ、クスノキ、ヤマモモなどが茂り、自然林として最も群生しているのは、大鳥居を入った北側あたりで、木の下には、ベニシダ、ハシゴシタ、ササ、ヤブランなどが生えている。
楼門から西側の杜の中の遊歩道は最高の散歩道であり、ここは秋の例大祭の時の「命之魚儀」を行うため「御神水」へ神輿行列が向かう道でもある。四季折々の動植物の生命が息づく場所である。
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